またも間があいてしまいましたが、
問5の解答を書かせていただきたいと思います。

とりあえず再掲。
のこりの問題はhttp://iridescent0.diarynote.jp/201203150033411634/


問5
あなたは、『けちな贈り物』の調整版として、

『あなたのライブラリーから異なる名前のカードを7枚探し、
それらを公開する。あなたが選んだプレイヤーは、
それらのカードから2枚を選ぶ。
選ばれたカードをあなたの手札に加え、残りを追放する。
その後あなたのライブラリーを切り直す。』

というインスタントをデザインしたが、

「このテキストのままでは、『けちな贈り物』よりも
強力な効果になってしまう。」

と勧告を受けた。

どのようにテキストを修正するべきか。



以下解答………



この問5で問題になるのがルール701.15bです。

701.15b 特定のカード・タイプ、色などの何らかの条件を満たす
カードを非公開領域から探す必要がある場合、存在してもそのすべてを
見つける必要はない。

ようは、
「条件付きでカードを探す時は見つからなかったふりをしてもよい」
ということです。

問5のカードや『けちな贈り物』は
「異なる名前のカード」
との条件がついています。

ですのでルール701.15bに従うと、指定枚数以下の
カードのみを探すことができます。

例えば『けちな贈り物』で2枚のカードのみを探すと、
対戦相手はその2枚のカードを選ばざるを得ません。

Gifts Ungiven / けちな贈り物 (3)(青)
インスタント
対戦相手1人を対象とする。あなたのライブラリーから異なる名前の
カードを4枚探し、それらを公開する。そのプレイヤーはそれらの
カードから2枚を選ぶ。選ばれたカードをあなたの墓地に置き、
残りをあなたの手札に加える。その後あなたのライブラリーを切り直す。


『けちな贈り物』の場合、選ばれたカードをあなたの墓地に置く
ので、この場合は選ばれた2枚ともが墓地に置かれます。

この使い方だと2倍の『納墓』ということになります。
本来の用途と比べると少々もの足りません。
『けちな贈り物』をルール701.15bを利用して悪用するのは難しそうです。
(不可能ではないでしょうが。)



一方問5のカードでは、選ばれたカードをあなたの手札に加え、
となっているので、ルール701.15bを利用すると2倍の『魔性の教示者』
として働いてしまいます。『けちな贈り物』の調整版としては
明らかに不適切です。



以上を踏まえまして、問5の解答は、『けちな贈り物』と同様の記述にする
というのを模範解答にしてみます。

『あなたのライブラリーから異なる名前のカードを7枚探し、
それらを公開する。あなたが選んだプレイヤーは、
それらのカードから5枚を選ぶ。
選ばれたカードを 追放し残りをあなたの手札に加える
その後あなたのライブラリーを切り直す。』
だいぶ間があいてしまいましたが、
問4の解答を書かせていただきたいと思います。


まずは再掲。
のこりの問題はhttp://iridescent0.diarynote.jp/201203150033411634/



問4
あなたは、

『対象のクリーチャーを破壊する。あなたがこの呪文を
唱えるために伝説の土地から出たマナを
使った場合、別のクリーチャー1体を対象としそれを破壊する。』

という効果のソーサリーをデザインしたが

「このテキストのままだと、
直感と実際の挙動が著しく異なってしまう。」

と勧告を受けた。
どのようにテキストを修正するべきか。



以下解答………



この呪文の効果を読んだとき、多くの方は直感的に

「とりあえず対象のクリーチャーを破壊して、
条件をクリアーしたらもう1体クリーチャーを
対象にとってそちらも破壊するのか。」

と考えると思います。


しかし、実際の挙動はこうなります。

「1体のクリーチャーを対象にした後、
別のクリーチャーを必ず対象に取る。
解決時に前者を無条件で破壊し、
後者は条件を満たした場合のみ破壊する。」

2体のクリーチャーは必ず対象に取らねばなりません。
場に1体のクリーチャーしか居ない場合にはプレイできません。


なぜこうなるかといいますと、「唱える」手続きの問題です。
呪文を「唱える」手続きはこうなります。


①ある呪文を唱えることを宣言し、スタックに載せる。
普通は手札からそのカードを提示します。

②モードを選択。

③代替コストを用いるかどうか、
追加コストを支払うかどうかの選択。
さらにXの値の選択。

④(選べるなら)対象の数を選択。
対象を選択。

⑤決定したコストを好きな順で支払う。


大雑把に言えば、
選択→対象の決定→コストの支払い
となります。

なので、この問4の呪文で対象を選ぶ際には、
伝説のマナが使われるかどうかは全くわかりません。
これにより、必ず2体目の対象を取らねばなりません。

ルールを深く意識しないと正しく取り扱えない
やっかいな呪文になってしまっています。



ですので、テキストの見た目か、
実際の挙動のどちらかを修正する必要があります。

テキストの見た目を修正する方策としては、

『1体のクリーチャーと、更に別のクリーチャーを対象とする。
前者を破壊し、あなたがこの呪文を唱えるために伝説の
土地から出たマナを使った場合、後者を破壊する。』

のように、2体の対象を取ることを明示する方法があります。



挙動を修正する方法としては、『川の掌握』が参考になります。

川の掌握 (3)(青/黒)
ソーサリー
川の掌握を唱えるために(青)が使われた場合、クリーチャーを 最大1体まで対象とし、それをそのオーナーの手札に戻す。川の掌握を唱えるために(黒)が使われた場合、プレイヤー1人を対象とする。そのプレイヤーは自分の手札を公開する。あなたはその中から土地ではないカードを1枚選ぶ。その後、そのプレイヤーはそのカードを捨てる。

さり気なく「最大1体」という言い回しを使うことで、
上記の問題を擬似的に回避しています。

青マナを使わなかったからクリーチャーの対象は選べない
と思ってしまった場合でも、自動的に
「対象を0体にすることを選んだ」
ということになり、適正なプレイが(結果として)おこなわれます。

これにならえば、

『対象のクリーチャーを破壊する。あなたがこの呪文を
唱えるために伝説の土地から出たマナを使った場合、
最大1体の別のクリーチャーを対象としそれを破壊する。』

となります。

これらのいずれかを模範解答としてみます。



以下蛇足………

『川の掌握』は青マナを支払わなくても
『幻影の像』を除去できます。
理由は上記のとおりです。

「ルールに明るいプレーヤーは得してしかるべき。」
というのはWotCの方針でもあるので、
重箱の隅のような話でも、知っておくと
たまにいいことがあるかも知れません。
もともと、1日で5問まとめて解答を書くつもりだったので、
テンポよく問2の解答も書きたいと思います。



とりあえず再掲。
のこりの問題はhttp://iridescent0.diarynote.jp/201203150033411634/



問2
『対象のクリーチャーを生贄に捧げる』
という効果の黒のソーサリーをデザインしたい。

何マナが適当か。
 ・4マナ
 ・3マナ
 ・2マナ
 ・1マナ
 ・1マナにした上で1ドローをつけるべき



このソーサリーで肝心なのは、
除去呪文ではない。ということです。

『生贄に捧げる』とは、
あるパーマネントをそのコントローラーが
墓地に置くことを表します。

なので、このソーサリーを相手のクリーチャーに
プレイしても何も起こりません。
自分の邪魔になったクリーチャーに使うしかありません。

となると、過去のカードで近いのは『底ざらい』でしょう。


Dredge / 底ざらい (黒)
インスタント
あなたは、クリーチャー1体か土地1つを生け贄に捧げる。
カードを1枚引く。


この問2のソーサリーは、基本的に『底ざらい』の下位版です。
被覆クリーチャーに使えず、土地に使えず、ソーサリーです。

なので、『底ざらい』を基準にすると、
「1マナにした上で1ドローをつけるべき」でも弱すぎる。
ということになります。

しかし、1ドローをつけると、いきなり
『底ざらい』の下位互換ではなくなります。

相手のクリーチャーにプレイすることで、
メインの生贄効果は何も及ぼさなくても、
とりあえず1ドローすることが出来るからです。

この変則的なサイクリングをどれだけ評価するかによって、
1ドローをつけるかどうかが決まると思います。


以上を踏まえまして、問2の模範解答は、

 ・『底ざらい』と一長一短なので、1マナで1ドローとする。
 ・『底ざらい』より強力になってしまうので、
   1マナの非常に弱いソーサリーとする。

あたりになると思います。
先日の問題の解答なんですが、5問全部まとめるとすごい文量
になりそうなので、1問ずつ書いていきたいと思います。
今回は問1の解答を。

とりあえず問1を再掲。
他の問題はこちら
http://iridescent0.diarynote.jp/201203150033411634/


問1
『対象のプレインズウォーカーを破壊する。』
という効果のマルチカラーのソーサリーをデザインしたい。

何マナが適当か。
 ・4マナ
 ・3マナ
 ・2マナ
 ・1マナ



以下解答………



この問題で考慮すべきは『名誉回復』と『大渦の脈動』です。

Vindicate / 名誉回復 (1)(白)(黒)
ソーサリー
パーマネント1つを対象とし、それを破壊する。

Maelstrom Pulse / 大渦の脈動 (1)(黒)(緑)
ソーサリー
土地でないパーマネント1つを対象とする。
それと、そのパーマネントと同じ名前を持つ
他のすべてのパーマネントを破壊する。

『名誉回復』や『大渦の脈動』は強力なカードではありますが、
禁止措置を受けるほどのカードではないため、これらとの
比較は有意なものと考えられます。

問1中のソーサリーの効果は、明らかに『名誉回復』や
『大渦の脈動』の下位版です。
マルチカラーのソーサリーという点も一致しています。

ですので、このソーサリーは2マナ以下が適当でしょう。

しかし、1マナとすると混成マナシンボルの
カードとなってしまいます。
(マルチカラーと指定されていますので)。

混成マナが鼻につく、ということならば、
この呪文は2マナが適当ということになります。



ただ、もうひとつ考えなければならないカードが、
『真髄の針』です。


Pithing Needle / 真髄の針 (1)
アーティファクト
真髄の針が戦場に出るに際し、カード名を1つ指定する。
選ばれた名前の発生源の起動型能力は、
それらがマナ能力でない限り起動できない。


『真髄の針』にかかれば、
プレインズウォーカーは1マナで無力化されます。

すなわち、この問1のソーサリーは、
『真髄の針』の下位版でもあるわけです。
(厳密にはいろいろと違う点がありますが。)

ですので、問1のソーサリーは、
混成マナの1マナでも、決して軽すぎないと考えられます。


以上を踏まえまして、問1の模範解答は

 ・『名誉回復』や『大渦の脈動』を意識し、混成マナを
  避けるために2マナとする。

 ・『真髄の針』を意識し、混成マナを甘受して1マナとする。

としてみます。



問2の解答はまた近いうちに。 

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